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私信 行方知らずの君へ

前略

君へ送った最後の手紙は、まだ封を開けていません。
いや、わかる。わかりますとも。
なぜ、君へ送った手紙の封を、私が開けるか。そうだね? 君はそれを問いたいんだと思います。
それは、私が君に手紙を送るのが、おそらく一か月、あるいは1週間か、数日か、遅くなってしまったことに原因があります。
君へ送った最後の手紙は、君があの場所を離れたあと、宛先へと届いてしまった。
手紙には宛て人おらずの簡素な紙切れが貼られて、二つの認印が押されていました。
ええ、懐かしい光景でした。
それは我々が君のことを探して、日本の各地に手紙を送っていたとき、よく見た光景でした。
あっと思って見るも、LINEのグループからも、君はすでに脱退していました。
君のことだから、特に何も考えず、とりあえずLINEのアカウントを消しただけのような気はしています。
けれど、私の住所を知っているにもかかわらず、全くもって挨拶状のひとつも送ってこないところをみると、君はまた0から、新しい人生を生きようとしているのかもしれないとも思います。

まあ、いいでしょう。誓って申し上げると、我々3人(少なくとも、あのとき君のもとを訪れた2人)は、君がどうしようと気にはしていません。
この前も私が、「いつ飯食いにいく?」と適当にLINEをして飯を食いに行きましたが、2年ぶりとは思えぬ粗忽さだと思いませんか。
私はそう思います。そしてそれでいいと思います。
君もいつか時が来れば、何食わぬ顔で連絡をしてくれば良いし、我々はそんな適当な日常をいつでも求めています。それは我々が過ごしたあの時間を思い出してもらえれば、きっと理解してもらえるでしょう。

さて、君とはかねてより様々なことを文通しました。
その中でも、君がメタバースや、新世代のIT社会についての勉強をしているということをよく話しました。
私が小説を書いているということはご存知だと思いますが、色々と面白いネタを思いついたので、君に連絡しようと思いました。
残念ながら、こういう形でしか君には連絡できませんから、書く内容は、断片的なイメージにすぎません。
もう少し詳しい設定は考えていますが、この素晴らしいアイディアを、君以外の人間に盗まれるわけにはいかないのです。

最近、Twitterの改悪が巷を賑わせていることは、君もご存知のことだと思います。
そもそものベースはそこから思いついたものです。
さて、ここからがその話です。
世界には、仮想通貨を基軸にした、もうひとつの電脳世界が存在します。そこに生きる1人の普通の人間が、今回の主人公です。
といっても、彼は普通のサラリーマンだと思います。どこにでもいる、普通のサラリーマン。きっと新宿あたりで、狭い夏の空を見上げて、眩しそうに目を細めるような、普通のサラリーマン。
しかし、彼はそんな裏の世界の住人でもあります。
その場所では、資産さえあれば様々な情報にアクセスすることができ、P2P技術によって、どれだけの悪業を行なったとしても、それが露呈することはない。もちろん、その対価ですから、提供しなければいけない対価はとんでもないものなんだろうと思います。

彼がどんな人生を歩むのかは今構想中ですが、きっと面白い話になると思います。

願わくば、また君にも読んでもらいたかったところですが、君に意見を求めることは、どうやらできそうにありません。

さて、長々と連ねてしまいましたが、今日はこの辺りにしておこうと思います。
この記事を読んで、この設定をパクる輩が出てくるかもしれない。急いでこの話を仕上げないといけませんから。

いや、パクらせておいて、著作権侵害で稼ぐ手もあるか……まあ、あまり格好のいいことではありませんが。

それじゃあ、また。

草々

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