ごきげんよう。ないたーです。
人間生きていれば、誰しも”やってみたい”ことがあるもの。
奇しくも、僕にもいくつかのやってみたいことがあります。
その一つがそう、タイトルにもある「わんこそば」です。
この度、めでたく「わんこそば」が”やってみたい”ことから”やったことがある”ことに昇格したので、何が起こったかを記録しておこうと思いました。
読者の皆様におかれましては、わんこそばを食べたくなったら参考になさってください。
なるかはわかりません。
書き終わったら意外と長くなったので、つまり参考にならない部分の方が多いと思います。
わんこそばバトル開催のお知らせ

事の発端は、このサイト『tetrarchia』を運営していることでも知られる奇人、Saobaくんからの唐突なメッセージでした。
いきなり腰を折るようですが、『tetrarchia』はテトラルキアと読みます。こんなところで説明することではないけど。
秋田玉川温泉の湯治はさすがに行程に難がありすぎたため却下されたわけですが、なんやかんやあってシルバーウイークにわんこそばバトルが開催されることが決まりました。
そのうえ、僕やSaobaくんの共通の友人や変人、怪人、愚人たちが参戦することになり、なんと総勢9名での大乱闘になることも決まりました。
この日からしばらく、僕はわんこそばを侮りながら過ごすことになります。
めちゃくちゃ思っていました。
「さすがに100は余裕、まあ150くらいは食えるだろう」
と。
情報収集
此度の闘技場に選ばれたのは、岩手県は盛岡市にある「そば処 東家」というお店です。
おそらく、わんこそば屋さんとしては最も名高いお店でありましょう。

ご覧ください、公式ウェブサイトのURLを。圧巻の「wankosoba.jp」。
わんこそばにしてこの店アリという覇者の風格が漂ってきますね。
すみません。やってみたいことにわんこそばを上げていながら、一度たりともなにかを調べたことがなかったため、存在を存じ上げませんでした。
なんなら、当日に至るまで「ひがしや」さんだと思っていました。すんません。
人生で初めてのわんこそばに挑むに不足無し、といったところでしょうか。
さて、公式ウェブサイトを見ますと、わんこそば昼の部の当日受付は『通常10:30頃より開始予定』とあります。
これはつまり、10:30に到着していては間に合わない、という意味――。
インターネットに揺蕩う先達の情報によれば、1時間前には待機列形成が始まるようです。
しかも連休中ということで事前予約はなし。
さらなる安全を見て、9時頃に盛岡入りすることが決定しました。9時から10時半まで、当日受付のために並ぶしかありません。
奇人Saobaくんに至っては狂気の6時入りを計画している様子で、当日予約体制は万全といえるでしょう。
彼の正気度はとっくに0であることもまた有名です。
残すは「わんこそばを100杯食う」のがどれくらいの偉業かということを思案するのみとなります。
奇しくも、バトルの1か月前にとんでもないツイートが世界を揺るがしました。
なんと、ざるそば約50枚相当を完食なさった方が現れたそうです。
まてよ。わんこ755杯がざる50枚ということは、わんこ15杯でざる1枚ということか。
ということは、わんこそば100杯ってことは大体ざるそば6.5枚分ということ…?
いくら無類の麺好きを自負する僕でも、ざるそばを6枚頼んだことはありません。
僕の自信に翳りが。
いや、しかし。
僕の覇道にわんこそば100杯未踏という未来があっていいはずがない。
700杯が常人離れしていることはよくわかる。だが。
あってはならない。100杯に到達しないなど。
この僕が許しはしない。
当日①:入店まで ※参考になるのは多分ここから
ということで、当日9時盛岡駅周辺着を目指して出発したのですが、移動中にとんでもない連絡を受けます。
Saoba「10時半じゃなくて9時受付開始ってお知らせが出てる」
僕「???????????」
つまり、9時前から待機列ができているはずで、9時着だと昼の部の予約に間に合わない可能性があります。
すべては、6時に盛岡入りしている奇人Saobaに委ねられることになりました。
――という文章を書くために東家さんのHPを見ていたら、
「シルバーウイーク中は受付開始時間を9時からにして、10時開店でわんこそば食えるようにするね😉」
という旨のお知らせが8月18日の段階で出ていたことを発見しました。
最初から9時着では到底間に合っていなかった。
誰も救急車を呼んでいないからこういうことになります。ちゃんと呼びましょう。
東家さん、当日も含めて結構こまめに公式HPにお知らせを掲載してくださっているようです。
前々から当日までの間、よくチェックしておくことをお勧めします。
結果的に、奇人Saobaが7時半に店舗前に到着し、待機列へ加わることに成功しました。
9時受付開始、7時半から並び始めてなお、前から5番目だったことも記しておきます。

では、前から5番目待機がどれほどの偉業だったかというと、開店時間の10時からわんこそばを始められることになったほどでした。
は?10時からそば?
こっちは11時以降の心づもりで何か月も過ごしてきたのに。
やはり、甲子園には魔物が住んでいるということなのでしょうか。
(※誰も、救急車を呼んでいないのである!!!)
呼んでいないなら仕方がありません。腹を括りましょう。
10時開始枠の人たちは、9時半に集合しておく必要があるとのこと。
友人や変人、怪人、愚人たちが東家本店前に雁首を揃えたのは9時半過ぎでしたが、何とか許されました。

「東家」の文字より「わんこそば」の方がよく目立つ
東家本店さんは、1階全体が待合スペースになっていました。
僕たちの他にも、10時開始のお客さんたちが各々腰かけて待機していたわけです。
案内される前に、わんこそばのコースを選択しました。
薬味9種が付く4,500円のコースと、薬味11種で5,200円のコース。
これは無論4,500円のコースです。
我々はそばを食いに来たのだ。薬味で腹を膨らませるなどもってのほか。
こうして来たる10時、我々は2階の闘技場へと案内されました。
当日②:バトル
フィールドには、椀、湯呑、食事後に渡される証明書に加えて、桶が配置されていました。

この桶、つゆを捨てるのに使います。
自分の椀に溜まり続けるつゆを処理するために置かれていて、杯数を重ねるのには欠かせなかった強モンスターです。
この後、給仕のお姉さまの手によって9種の薬味が卓上に並び、椀の蓋が開かれました。
椀の蓋が、開いた。これすなわち、開戦の法螺。
先ほど薬味を並べていたお姉さまのしなやかな手は、今や無情にそばを補給し続ける魔手へと変貌せし。
先述した「わんこ15杯でざる1杯換算」という豆知識が魔手からも披露されつつ、食べたわんこは15杯を1塔(?)として目の前に積み上げられていきます。
タイトルやサムネにもあるとおり、僕は最終的に120杯でギブアップしました。
ここからは、杯数ごとの僕の心象を振り返ってみましょう。
0~45杯くらい
本当に余裕。無限。こんなんもう200まで行ける。間違いない。薬味なんかいらない。
自分が何杯食べたか数える暇もない。ひたすら喰らうことに集中できる。
ほとんど噛まずに飲み込める。というか、満腹中枢を刺激しないために噛みたくない。
最低限の嚥下に必要な咀嚼だけでぐいぐい”飲める”。
椀に入ってくるそばに、明らかな個体差があることに気づく。
嘘みたいに少ないそばと、嘘みたいに多いそばがいることがある。
コイキング(種族値200)とギャラドス(種族値540)くらい違う。
魔手がお代わりを取りに行くタイミングでつゆを捨てたほうがいいな。
というか、啜るときにも、椀を傾けてつゆを切った方がいい。
本当に「はい、どんどん」「はい、じゃんじゃん」って言うのか。
言われたからとて食が進むわけではないが、風情がある。
46~70杯くらい
集中力が若干落ち始める。
つゆを切っているものの、塩分の蓄積を体が感じ始める。
このあたりで、魔手が「男性の平均は50~70くらいですね~」などと余計なことを言う。
杯数を意識し始める。100まであと何杯だ?
これ以降、味変がないと厳しい。
青唐辛子の漬物、これは美味い。おすすめ。
なめこおろしもかなり美味いが、思いのほか重い。
わさびやネギは王道だが、変わり映えがしない。
もみじおろしは良かったが、量が少ない。
海苔と胡麻。これが一番香りが強く、そばに染まりつつある俺を福音で包む。
マグロ刺しなんか食べている余裕はない。その体積分そばを食う。
71~90杯くらい
明らかにそばが美味しくなくなる。ペースが落ちる。
嚥下に必要な咀嚼の回数が増え、1杯あたりの処理時間が増える。
いや、そばは美味しく、香りも良いのだが、しかし美味しくなりつつある。
楽しい食事の時間は終わった。ここからは食事ではない。手合わせ。
そばと真剣に向き合う必要がある。もう味わう時間は終わった。
己の胃袋にそばを詰め込み続ける覚悟を決め直す。
さすがに100は超えられる。確実。
100から先、俺はどこまで行けるだろうか。
91~110杯くらい
間もなく100か。91,2,3,4,5,6,7,8,9,100。
一つ一つ重ねて辿り着いた100という数字。
魔手が「100ですね~」と小声で零す。
つゆを極力切りながら啜ってきたが、明らかに塩分過多の足音を感じる。
側頭部の血管が拡張し、悲鳴を上げている。頭が痛い。
明らかに、もういらないが、しかしまだ諦められない。まだ入る。
魔手のいたずらか、悪魔の罠か。
あたりで跳ねていたはずのコイキングが姿を消し、ギャラドスが猛威を振るう。
6,7杯も連続でギャラドスが椀に入ってくるが、でんき技を打つ余力は残っていない。
俺のHPは刻一刻と削られていく。
100を超え、105に届いたところでまた1塔が立つ。7塔目。
105では終われない。まだだ。
110~120杯
110を超えた。
明らかにキャパシティに近づいている。
今この瞬間吐かないと地球が滅亡するなら容易に吐ける。
魔手が言う。
「お代わりはお持ちしますか?」
顔を上げ、無言で頷く。まだ終われない。
魔手がお代わりを取りに行く間も咀嚼を続ける。
120までいけば、8塔目が完成する。
あれほど余裕に感じた、たった1口のそばを飲み込むのに、何回咀嚼しなければならない?
あと5杯。
もはやどんな味変も俺を救いはしない。
あと4杯。
共に闘った8人のうち、7人は既に蓋を閉じている。
開始に若干タイムラグがあったこともあり、先に闘いを終えていた。
あと3杯。
お茶をお代わりした。
つゆ以外の水分がほしい。
もはやお茶の味もわからないが、これでもう少し闘える。
あと2杯。
隣の怪人は、俺より早く120を超えた。
100くらいまで大体同じペースで啜ってきたはずだが、差は開いていく。
まだペースが落ちない。嘘だろ?お前はどこまで往く。
あと1杯。
120杯目が俺の椀に入った。
これなら食べられる。
しかし、これしか食べられない。
今この瞬間食べないと地球が滅亡するというのなら、まだ食べられるだろう。
しかし、幸いにもまだ地球は無事なようだ。
今この瞬間121杯目に手を出したら、やがてお店に迷惑がかかることになる。
咀嚼済みの盛りそばをここに作るわけにはいかない。
壁にもたれかかって咀嚼を続け、ようやく飲み込む。
終わりを察した魔手は、冷酷に、しかし温かく言う。
「お代わりはお持ちしますか?」
魔手は、限界を迎えた椀にそばを足すことはしない。
俺は静かに首を振った。
代わりに頷いたのは、隣の怪人だった。
それを尻目に、ゆっくりと、蓋を閉めた。
バトルが終わり
不思議な感覚でした。
完全な満腹で苦しいことには苦しいのですが、例えば焼肉食べ放題で満腹になったときとは明らかに違う。
脂や塩分がきついときとは異なり、本当に単純に胃袋が完全にいっぱいになったのでギブアップせざるを得なかった、という感覚。
僕の胃袋はちょうど120杯のわんこそばでいっぱいになる。
そしてさらに不思議なことに、絶対にお腹いっぱいだけど、多分晩御飯は食べられるだろうな、という気がする。
東家さんでは、100杯以上食べたお客さんに木札を渡してくれます。うれしい。

午前10時から食べ始めたにしては、なかなかやった方なのではないでしょうか。
150や200を食べるような人はかなり並外れているということも実感しましたね。
野球部や柔道部的な方々のように、普段から量を食べる訓練をしていないと辿り着けない境地だったと理解しました。
僕も含めて9名で開催されたバトルにおいては、僕は3位に入賞しました。
1位の怪人が141杯、2位の友人が131杯です。
どんなにコンディションがよくても140に届く日はないような気がしますし、
なにしろ怪人の恐ろしいところは、バトルの数時間前に駅弁をしっかり食べていてなおこのスコアというところ。
やはり、食うやつは食うのです。
興味深いのは、わんこそば120杯相当、つまりざるそば8枚を目の前に出されたら完食できるだろうか、ということです。
多分無理な気がします。つゆにつけて食べ進めなければならない以上、先に塩気で限界が来る気がする。味を工夫すれば余地はあるのかしら。
いつか検証してみたい気もしますが、もう当面そばは食べたくありません。
此度のバトルで、人生の目標、やってみたいことというのはあながち簡単に達成できるということも再確認しました。
やってみたいな~と思っているならやった方がいい。
やりたいことはできるうちにやっておいた方がいいのだ。
さて、先述した「多分晩御飯は食べられるだろうな」という感覚は当たっており、その日宿泊した旅館で19時からしっかり晩御飯を食べました。
あれだけ食べたはずなのにこの時間には空腹感を覚えたあたり、そばの消化の良さは流石だったというところでしょうか。

白飯が白飛びしすぎててウケる。
お腹も空いたことだし、せっかくのお宿だからいっぱいたべよーっと。
と思ったないたーくんは、↑のお皿を平らげる頃、お腹が痛くて泣きました。
皆さんは、友人たちとわんこそばバトルをした日の夜にバイキングはしない方がいいです。
ではまた。

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