瓦落多思考物 #3
ごきげんよう。ないたーです。
僕のTwitterをフォローしていただいてる方はご覧いただいたかもしれませんが、先日こんなツイートをしました。
次の3つの文を解読せよ
条件:xcを除く
」943)-03!:3/7
4-&^_^3!5-?35-8
59」35-4-34-8
#謎解き
みんな、解いてくれたかな??
さて、今回も言葉遊び回です。このシリーズ、僕の心に移りゆくよしなしごとをそこはかとく書きつくる、ある種エッセイ的なものにする試みだったんですがなかなかうまくいきません。
答え合わせの前に、まずはタイトル回収といきましょう。
みなさん、暗号という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
聞いたことはあっても日常生活ではなかなか縁がないものでしょう。かくいう僕も、別に意識的に暗号に触れているわけではありません。(情報通信技術からして暗号化技術の発展の賜物なので、能動的に触れていることには間違いないのですが。)
コトバンクによれば、暗号とは「広い意味では、通信の内容を秘匿(ひとく)したり認証するために使うことば、ならびにその技術。」とあります。
ある情報を僕があなたに伝えたいとき、僕が伝えたいことを何らかの”方法”で隠して伝え、あなたが”鍵”を使ってそれを読み解く、というものですね。
さて、上記のような暗号として最も古いもののひとつに、「換字式暗号(かえじしきあんごう)」があります。文字どおり、伝えたい文字列を別の文字列に置き換えてしまうことで、一見元の内容がわからなくなる暗号です。
例えば、僕とあなたの間で な=A,い=B,た=C,ー=D と予め取り決めておいて、僕が「ABCD」という文字列を送信すれば、それを受信したあなたは『ふむふむ「ないたー」と書いてあるな』と解読できる、といった塩梅です。
この暗号では、「文字の置き換え」が”方法”で、どの文字がどの文字に置き換わっているかが”鍵”だということになるわけです。
古代ローマの偉い人カエサルさんは、文字の置き換えではなく、アルファベットを数文字ずらす暗号をよく用いたそうです。換字式暗号の中でも「カエサル暗号」と呼ばれ、これが最も古い暗号のひとつだと言われているとか。
アルファベットをずらすというのはつまり、
A | B | C | D | E | F | G | … | V | W | X | Y | Z |
↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | |
D | E | F | G | H | I | J | … | Y | Z | A | B | C |
というようなことで、
例えば「VENI,VIDI,VICI」という文章を「YHQL,YLGL,YLFL」と置き換えるような暗号だったそうです。
わざわざ長尺で換字式暗号のお話をしているということは、勘のいい読者の皆さんはもうお気づきでしょう。冒頭の暗号は少なくとも換字式暗号であるということですね。
換字式暗号を解読するとき、そもそも暗号化された文が換字式暗号という”方法”であることに気づくことと、どのような置き換えかという”鍵”に気づく必要があるわけですが、今回はもう”方法”はバレてしまっています。
そもそも、古代ローマなんていにしえの時代からあるこの暗号、現代ではアルファベットや五十音の頻度分析を用いることで簡単に破られてしまうそうですね。頻度分析ってのは簡単に言えば、「英語の文章では全体的にeとかtが出てきやすいな」みたいな分析のことで、それを使って「この暗号の中で一番多く登場する文字がeとかtなんじゃないかな」って推察できちゃうんだそうです。
昨今では、専ら“鍵”に工夫が凝らされており、むしろ“方法”は公なことが多いんだとか。
確かにワンタイムパスワードなんかは「この1分間しか有効じゃないパスワードをつかってセキュリティを解除するよ」って手法ですからね。”方法“は明らかでも”鍵“を難しくする方が強化は簡単そうです。
安心してください、僕の暗号を解読するのにそんなめんどくさい手順は踏ませません。
いつものとおり余談が長くなってしまいました。
ここで、改めて暗号を眺めてみましょう。
条件:xcを除く
」943)-03!:3/7
4-&^_^3!5-?35-8
59」35-4-34-8
数字や記号の羅列に見えますが、散々お伝えしているとおり、これは元の文章が数字や記号に置き換わっています。
この換字方法を思いついたのは実に10年くらい前なのですが、わざわざ暗号にしてまで伝えたいことや記録したいことが無く、日の目を見ないままでした。
もし暗号をまだ考えてくれている人のために大ヒント。
解読にはiPhoneを使います。
いいですか?次の文章では答え合わせしちゃいますからね。
早く答えを書けというそこのあなた、いつも無駄話が多くてすみません。お待たせしました。
それでは、暗号解読の”鍵”です。次の画像をご覧ください。


これは、iPhoneでローマ字入力するときに表示されるキーボードです。
上の画像が通常のQWERTY配列、下の画像は数字と記号を入力するときの配列です。
QWERTY配列のとき、キーボードの1、2行目にはキーが10個、3行目には7個あります。数字・記号配列のときは、キーボードの1、2行目にはキーが10個、3行目には5個ありますよね。
そう、1,2行目ではQWERTYと数字・記号の置き換えです。
3行目では、『条件:xcを除く』としているとおり、3行目にあるアルファベット7つのうちXとCを除いた5つを、数字・記号3行目の5個のキーと置き換えています。
つまり、「iPhoneローマ字入力キーボード上で同じ位置にあるアルファベットと数字・記号を置き換えてローマ字入力している(xcを除く)」ことがこの暗号の”鍵”になります。
これを使って読み解けば、暗号の内容は
korehapendesu(これはぺんです)
ra-mentabetai(らーめんたべたい)
toketaraerai(とけたらえらい)
であることがわかるってわけですね。
数字・記号の3行目が5つしかない以上完全な置き換えとはならないのですが、「ZXCVBNM」のうちローマ字入力においてほとんど使わないXとCを犠牲にすることで成立します。「ちゃ」行なんかをchaと打つ人には不便ですが、tyaと打てば解決することなのでさほどダメージはありません。
また、これは「ローマ字日本語入力」で成立することを前提にしています。英語QWERTY配列にはー(長音)がないので、キーボードを切り替えたときややこしいことと、後述のとおり僕がタッチタイピングで気持ちよく入力できることが前提だからです。
どうしても英語話者とこの暗号を使うことにするときには、数字・記号の両端の-か”を使わないよう取り決めなければなりません。
僕は生粋のiPhoneユーザーですが、iPhoneを使いだす前から多少パソコンに触っていたこともあり、どうにもフリック入力が肌に合わず、当初からローマ字入力を愛用しています。
そうしてローマ字入力を使い続けている間に思いついたのがこの換字式暗号です。
iPhoneローマ字入力を続けている間に、いわゆるタッチタイピング(昨今ではブラインドタッチと言うと怒られてしまいます)が身につき、手元を見なくてもローマ字入力ができるようになった頃、数字・記号モードに切り替えたまま文字を打ってしまったときに出来上がった数字・記号の羅列を見て「なるほどローマ字を暗号化できるじゃないか」と思いついたわけです。
現に、冒頭の暗号文は数字・記号入力に切り替えた後にローマ字を打つ感覚で入力したものなので、むしろ打ち込んでから、いちいちチェックしてツイートしています。手の感覚では確実に「korehapendesu」と打ち込んでいるので、間違ってはないよな、と思いながら。
思ったより長い記事になりました。
しかし、10年来の発想を世に送り出せて僕は幸せです。
もし皆さんのところに僕から数字や記号の羅列が送られてきたら、iPhoneを手元に用意してキーボードを開いてみてください。きっと解読できるはず。
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Twitterアカウントを開設しました。あんまりたくさん呟くと記事にしたいことがなくなってしまうので使い方には悩んでいますが、今後細々と続けていくつもりの創作物の発信源にしたいと思っています。記事へのご意見なんかもお待ちしてます。