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ないたー
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Fish or Beef?

瓦落多思考物 #1

 「飛行機は実は飛んでいない」なる陰謀論と拮抗する都市伝説に、「Fish or Beef?」という問いかけがある。これは飛行機に乗ると添乗員に必ず聞かれるそうだが、未だかつてこの質問に答えたことはない。話によれば、この質問に答えられないと窓外追放になるそうだ。


 いくらなんでも嘘です。『「飛行機は〜』から『〜なるそうだ。』まで全部嘘です。「Fish or Beef?」という問いかけがあるのはもしかしたら本当かもしれません。あ、僕がこの質問に答えたことが無いのも本当です。全部嘘というのは嘘でした。

 しかし、「聞いたことがあるのに聞いたことがない定型文」というのは不思議です。僕は国内線しか乗ったことがないので、実際に食事のメニューを聞かれたことはありません。こういうシーンを映像作品で見た記憶も無いし、なんらかの書籍で読んだこともありません。なのに、機内食の献立を聞いてくる定型文章があるらしいということは知っています。不思議ですね。

 おなじような文章に、たとえば「あちらのお客様からです。」があります。

 『バーカウンターで1人物憂げな乙女——その前にウイスキーグラスがつつと滑って、止まる。乙女が目を向けるとバーテンダーが静かに「あちらのお客様からです。」と告げる。示されたカウンターには乙女に微笑みかける男の姿があった。』

 というシーンで“だけ”しか聞かない言葉です。しかし、こんなシーンに出くわしたことはありません。日本中のバーテンダーに聞き取り調査をしてみたいものです。言うまでもなく実際に見たことはありませんが、もしかするとどこかの創作物でなら目にしたかもしれません。


 多分、挙げだせばいくらでもあるでしょう。それにしても、この手の定型文は一体どこで脳内に刷り込まれたのでしょう。たとえば「昔々或る所に…」は聞いたこともあるどころか口にしたこともあるくらい定型文ですよね。こういう実用的(?)なものなら自分もみんなも知ってるのは理解できますが、「あちらのお客様からです」は役に立ちもしないのに何故か知っているというのは本当に不思議です。

 というか「Fish or Beef?」は多分実在する(または実在した)だろうからちょっと毛色が違いますね。いや「あちらの〜」も完全な虚構では無いのかもしれませんが。つまり、実際にその場面に出くわしたことはないのに何故か知ってる決まり文句ってあるよな、ってことですよ。しかも「俺この戦争が終わったら結婚するんだ」みたいな、もう世間で擦られきったフラグ的なネタよりももう少しどうでもいいやつ。明確な線引きはありませんけども。

 文章に起こす前はいくつか他にも思い浮かんでいたような気がするのですが、すっかり忘れてしまいました。ああそうそう、Twitterでよく見る文末表現に「〜って死んだ婆ちゃんが言ってた」があります。これもみんな知ってる定型文ですが、誰がいつ言い出したんでしょうね。見るたびに鳥肌が立つような薄ら寒い嫌悪感に襲われるので嫌いです。読者の中にこの表現を使ったことがある人がいたら大変恐縮です。あなたのことは恐らく嫌いではありませんよ。安心してください。この言い回しが苦手なだけです。これを言いたいがためにきっとたくさんのお婆さんが殺されてきたことでしょう。


 文章が乱れてしまいました。大変失礼しました。さて、いつ知ったかもいつ使うのかもわからないがなぜか知っている定型文を考えようの会でした。もう少し書こうかとも思ったのですが、同じような内容の繰り返しになってしまう気がしてやめました。

 きっとみなさんにも思いつくものがあったでしょう。なかったかもしれません。知らない間に得た知識というものにも活用の道があるといいですね。

ではまた。


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