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ないたー
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50音表(A)Ran

瓦落多思考物 #2

 ごきげんよう。ないたーです。

 それにしても、自分の書いた文章がインターネットの海を揺蕩っているのは不思議な感覚です。掲示板やSNSのように誰でも投稿できる場所ではなく、人の目に留まりやすいわけでも無いところに、それでも在るというのは尚不思議です。誰でも投稿できる場所ではないところに投稿させていただいているのは結構ありがたいことです。

 でもよくよく考えてみれば、実世界の僕自身とて誰かの目に留まりやすいわけではありません。インターネットは虚構でありつつも現実味を帯びているような気もします。


 文章を書こうと考えていると、ついつい日本語で遊びたくなってしまう性分です。特にぎなた読み(注)はいいですね。安直に面白い。「テトラルキア」という単語も、「テトラる、キア」と区切って、『架空の動詞「てとらる」を行う架空の人物「キア」氏』とか考え出すとキリがありません。「てとらる」は多分テトラポッドを海岸に並べる作業あたりを示す動詞でしょうね。

 このようにマジでどうでもいい生産性の無いことを考えるのは実に最高です。そんな中ふと思いついたのが、「あ」から「ん」までの50音をランダムに並べ替えて、意味をこじつけた文章が作れないかということでした。やってみるしかないですね。今回はぎなた読みの話かと思ったあなた、残念でした。ではレッツゴー。

注:ぎなた読みとは、文章の区切りを変えると違う意味になる読み方的なやつです。「弁慶が薙刀を持って…/弁慶がな、ぎなたを持って…」と読み違えた話がこの呼称の由来だとか(要出典)。


 早速、ランダム関数とランク関数を駆使することでExcelくんに50音表をランダムに並べ替えてもらいました。出来上がったものがこちら。

『ぬすつふちほへけかやなのよまさせおそるしをはわくめみろきあらにてたえとひんゆれいもりうこむね』

 作っていて気づいたのですが、50音表を並び替えるということは、ある単語の文字を並べ替えて別の単語にする「アナグラム」――その中でも、50音を1文字ずつ使ったアナグラムである「いろは歌」を作るということですね。つまり僕の試みは、「50音表をランダムに並び替えて、いろは歌を作ろう」だったということになります。先に気づかなかった方がおかしいような気もしますが、なんだかいきなりすごくハードルが上がった気がしてきました。しかし、我々はこんなところで挫けてしまうわけにはいかないのです。


 『ぬすつふちほへけかやなのよまさせおそるしをはわくめみろきあらにてたえとひんゆれいもりうこむね』

 冒頭7文字の「ぬすつちほへ」でまず区切りましょう。「〜へ(えと読む「へ」)」としたいところです。「ぬす」は「盗む」の「盗す」とできそうです。「ほへ」で調べてみると、コトバンクに「火瓮」という言葉がありました。“甕の中で焚く火”という意味があるそうです。”土甕の中で焚く火“として「盗す土火瓮へ」としましょう。

 次に「けかやなの」です。「けか」には「悔過“仏語。罪や過ちを悔い改めること。”」、「やな」には「簗“川で鮎なんかを捕まえる漁法、漁場」みたいな意味があるそうで、これで”過ちを悔い改めながら鮎を獲って食べられる場所“「悔過簗の」が完成しました。

 「よまさせおそるしを」は、なんかもういけそうですね。乱数が与えてくれた休息。そのまんま、「読まさせ、畏るしを」ですよ。これ以外ない。ここまでで、“過ちを悔い改めながら鮎を獲って食べる場所から盗んだ土火甕へ、その罪を読み上げさせてびびっている“という文章になりました。

 やっと大体半分くらいが終わりました。力こそ正義。ジャスティスisパワー。知らない単語を調べあげて押し切る以外我々に生き残る道は無いのです。この企画を思いついた時より遥かにハードルが高く感じているせいもあり疲労困憊もいいところですが、めくるめく日本語と乱数の世界はまだまだ終わりません。休憩はこの辺りにして、歩みを進めてまいりましょう。


 「はわくめみろ」「きあらにて」「たえとひんゆれいもりうこむね」。さて、ずっと目を背けてきた後半。あーあ。もうどうしようもありません。困っちゃった。前半のこじつけにも結構時間がかかったのですが、後半のどうしようもなさがどうしようもなく、「たえとひんゆれいもりうこむね」は僕の脳内リソースの一部を常に占領しやがるようになりました。

 「はわくめみろ」ですが、九州の方言で“箒でその辺を掃く”の掃くを「はわく」と言います。「め」は正直どうとでもしてしまえるのですが、 掃くに沿わせて、畳の目とか木材の目みたいな、一方方向への筋みたいな意味の「め」にしましょう。そうすると、これから掃くめをちゃんと見ろ的に意味になりそうですし。

 志賀直哉著『城の崎にて』のように、キアラという場所があったらどんなに都合がいいか。え、ある?1984年に見つかった小惑星番号4398番の小惑星の名前?やったー!宇宙行っちゃいましょう!小惑星キアラに掃けるような場所あるんでしょうか。あるといいですね。

 「妙と品 諭令も リウコムね。」


 さあ、無事完成しました。

 『盗す土火瓮へ 悔過簗の 読まさせ畏るしを

  掃わく目見ろ キアラにて 妙と品 諭令も リウコムね。』

 いやー、苦労しました。本当に。いや、すみません。でも本当に結構悩んだんです。ほらこの記事ってそんな真剣に読むものじゃないでしょ?ね?やめて、そんな目で見ないで。まだあるみたいだから、お願いします。マジで。


 『いろは歌にぞ悩む

  閃かぬこじつけ

  未知のワアド探りても

  予期する誉れを得ぬ

  御伏せ、寝ゆ』

 

 お粗末。ではまた。


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 Twitterアカウントを開設しました。あんまりたくさん呟くと記事にしたいことがなくなってしまうので使い方には悩んでいますが、今後細々と続けていくつもりの創作物の発信源にしたいと思っています。記事へのご意見なんかもお待ちしてます。


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